津江のブログ

モバイルエンジニアが仕事での学びをアウトプット

「銀行丸め」を知っているか?(JavaScript版)

経緯

フロントエンドエンジニアとして、自社サービスのキャッシュレスPOSレジ(タブレットアプリ)をReact Nativeで開発しています。
先日、値引按分額を算出する際にデバッグしていたところ「1円がどうしても合わない!!!」と悩んでいました。
調べたところ、「銀行丸め」で計算すればOKとのこと。

「銀行丸め」とは何か

こちらの記事に詳しく書かれていました。
抜粋すると下記の通り。四捨五入の特殊版です。

「端数が0.5より小さいなら切り捨て、端数が0.5より大きいならば切り上げる。端数がちょうど0.5なら切り捨てと切り上げのうち結果が偶数となる方へ丸める。」 f:id:tsue_blog:20210805100231p:plain

前提

APIで下記のような会計処理するデータを取得したとする。

★ 問題ない会計パターン
[
 商品A:{
  price:750,
 },
 商品B:{
  price:300,
 },
 商品C{
  price:1180,
 },
 subTotal:2230, //小計
 discount:0, //クーポン値引額
 total:2230, //最終支払額
]

しかし、上記のケースで値引クーポン(会計から400円値引する)がある場合はどうだろうか?
仕様により、「商品ごとに値引額を按分し、先に算出しないといけない」とする。

★ 1円ずれる会計パターン

400円を商品A~Cで按分(値引額 * 商品代金 / 小計)し、itemDiscountに代入
[
 商品A:{
  price:300,
  itemDiscount:54, //按分した単品の値引額
 },
 商品B:{
  price:750,
  itemDiscount:135, //按分した単品の値引額
 },
 商品C{
  price:1180,
  itemDiscount:212, //按分した単品の値引額
 },
 subTotal:2230,//小計
 discount:401,//クーポン値引額(54+135+212=401)
 total:1829,//最終支払額、正しくは1830
]

discount:401、、、だと!?
ちなみにitemDiscountの算出方法は
値引額 * 商品代金 / 小計 の四捨五入
つまり商品Aなら、
 400 * 300 / 2230 = 53.811....  → 四捨五入し「54円」

しかし、商品Bでは
 400 * 750/ 2230 = 134.5  → 四捨五入し「135円」となるが、 少数点第一位が.5なので 
「銀行丸め」により「134円」としないと1円オーバーしてしまう!
商品B:{
 price:750,
 itemDiscount:135, //1円オーバーの原因
},

答え

const calcItemDiscountWithCoupon = (orderData) => {
 const apportionmentPrice = 値引額 * 商品代金 / 小計
 //按分後、少数点以下が'.5'の場合に銀行丸めを行う
 if (apportionmentPrice.indexOf('.5') !== -1) {
  //少数点以下を切捨て2で割りきれるか確認
  const floorApportionmentPrice = Math.floor(apportionmentPrice)
  if(floorApportionmentPrice % 2 === 0){
   return floorApportionmentPrice //偶数ならそのまま返す
  } else{
   return Math.ceil(apportionmentPrice)//奇数ならapportionmentPriceを切り上げ
  }
 }
}

これによって、商品Bの値引き額は「134円」になった!!!

この後に「単品でのディスカウントや消費税(8%・10%)」の分岐を踏まえて、
「内税算出(表示義務化が2021年4月施行)」するために必要な工程の一つでしたが、
基本的には上記で「銀行丸め」しました。